工法選びで迷われている方も少なくないと思います。というのも、どの工法で建てるかは好みやコストだけで簡単に決められるものではなく、断熱性や気密性といった性能面や間取りの自由度、さらには業者が得意とする工法など様々な要因が考慮される必要があります。そこで今回は、後になって後悔することなくスムーズに工法選びをしていく上でポイントを紹介していきたいと思います。
工法選びをしていく前にまずは、住宅の工法としてどのようなものがあるかをあらかじめ把握しておきましょう。木造や鉄筋コンクリート造、鉄骨造はもちろんですが、木造の中にも軸組工法やツーバイフォー工法、鉄筋コンクリート造にもラーメンや壁式など、大きな分類の工法の中にもいくつかの異なるタイプがあります。また、複数の工法を組み合わせた混構造もあります。工法の種類については、「建築工法の種類と住まい」も是非参考にしてみて下さい。
工法選びではそれぞれの工法についてのメリット・デメリットもあらかじめ調べて把握しておきましょう。場合によっては、ここですでに住まいの工法が決まるかもしれません。多くの工法があり、その中から自分にあったものを選ぶことはなかなか難しいことから、建築会社に相談する方もいらっしゃるでしょう。もちろんそれも1つの方法ですが、本当にあなたの家づくりに適した工法を選ぶためにも、自分でも自らしっかりと下調べをしていきましょう。
写真:株式会社アルフデザイン
住まいをどのような工法で建てていくかで建設コストは大きく変わります。しかし、コストばかりに注目していると、思い通りの住まいにすることができなくなる可能性もありますし、構造以外の部分で余計にコストがかかってしまうことにもなりかねません。例えば、ツーバイフォー工法が安いからと言って選ぶとLDKなどを思い通りに広くできなかったり、鉄骨であれば高気密高断熱にしにくいということなどです。しっかりとコスト面以外の工法選びの優先項目を考慮しながら選んでいくといいでしょう。
設計事務所であなたの土地や生活スタイルなどに最も適した工法で家を提案してもらうことも方法の1つです。また、こうした個々の事例に最も適した工法や間取りといった家づくりをしていくことが設計事務所の強みでもあります。設計事務所の中にも鉄筋コンクリート造しか扱わないところなどもありますので、工法選びで迷っている場合は過去の作品も参考にしながら、様々な工法で住宅を設計している設計事務所を選んでいくといいでしょう。
周辺環境などによってはそうした条件から建物の工法が決まることもあるでしょう。例えば、こちらの磯村建築設計事務所が手掛けた住まいのように傾斜地に建てる場合であれば、建物の下部分を鉄筋コンクリート造、上部分を木造にして、家を強固で安定なものにしながら木造の快適さを手に入れることが混構造であれば可能となりますし、建物が密集する地域で狭小地に3階建てなど高い建物を建てる際は鉄筋コンクリート造あるいは鉄骨造が適している工法になるでしょう。そうした条件もあらかじめ考慮しながら、土地選びから工法も含めてどんな家が建てられるかを考えてみるといいでしょう。