京都 ”真・町家住宅プロジェクト” 舞双庵

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舞双庵, 有限会社 TEAMWORKS 有限会社 TEAMWORKS Asian style houses
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京町家とは主に京都で見られる店舗と住居が一体化した建物のことです。格子や虫籠(むしこ)窓、犬矢来などが特徴で、間口が狭く奥行きが深い造りのため”うなぎの寝床”と呼ばれます。それらの建物が並ぶ古い街並は、伝統的な風情を感じさせる人気の観光スポットになっていることも。しかし防火性や耐震性に劣ることや住人の多くが高齢者だという統計もあり、保全の困難さも浮き彫りになっています。そこで今回紹介したいのが”真・町家住宅プロジェクト”としてTEAMWORKS一級建築士事務所が手掛けた一軒の住宅です。TEAMWORKS一級建築士事務所は「十人十色であるからこそ『普通の家=個性の家』としてオリジナルの空間を創出することが重要である。語る建築ではなく『感じる建築』としてミニマルで心地良い空間を考えていきたい」という思いで活動しています。どんな住宅になったのでしょうか。さっそく見ていきましょう。

印象的な外観

漆黒の外壁が印象的な佇まい。閉じられたファサードの理由は、隣地もいずれ空き地ではなくなるのでプライバシー確保のためと、風の強い地域への配慮から。向かい合っているような二つのボリュームと斜めの大屋根、そして伝統を感じさせる木製の塀が特徴的です。奥に深い敷地を有効に活かす京町家の要素を取入れ、”間”の空間を配置したというこちらの住宅。内部はどうなっているのでしょうか。

古民家風のリビングルーム

こちらはリビングルーム。中央に設けられた囲炉裏や古建具を活用したという古民家風のインテリアになっています。床も”フローリング”というよりは”板敷き”と呼びたくなる味のある木材が使用されています。しかし古民家風といっても古ぼけた印象になっていないのは、照明の使い方が優れているため。梁に幾つか設置したモダンな照明によって、現代と伝統がミックスされた魅力的な空間になっています。ソファやオットマン付きのチェアを合わせても良さそうです。

中庭

各部屋に面しているこちらの中庭は、敷き詰めた小石に波形を描いて枯山水の要素も取り入れたデザイン。敢えて控えめにした植生が侘び寂びを感じさせます。建物に囲まれているので完全にプライベートなこの庭。縁側に座ってほっと一息ついたり、移り変わる自然を間近に眺めたりと、穏やかな時間と自然の美しさを生活に与えてくれる大切なスペースです。奥に深い京町家形式の住宅ですが、こうして家の中央に庭があることで自然と家族が真ん中に集うのかもしれません。

和室

正方形の縁なし畳、大胆な図柄の襖、そして明かり取りのある天井… と直線と直角の構成が幾何学的な美しさと遊び心を感じさせる和室です。下半分がガラスになっている雪見障子は、差し込む直射日光を和らげて優しく柔らかな光にします。開口部が低いので囲われている感じが人を落ち着かせる効果も。中庭を眺めながら心を穏やかに過ごせそうな和室です。

ファサード夜景

正面玄関から見るといかに細長い形状かが分かりますね。月夜に浮かび上がるのは、直線がきりりと潔く、そして情緒も感じる姿。今、必要とされる現代流の京町家です。

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