本日は高低差のある南北に抜ける敷地の特徴を生かして計画された住宅を紹介します。北側の道路側には公園があり、その常緑樹の風景を室内にうまく取り込んでいます。またプライベートな庭を確保した南側に、家族の集まるリビングダイニングを開放的にデザインすることで、自然の移ろいを感じながら豊かに暮らせる家が生まれました。手がけたのはアトリエ24一級建築士事務所。さっそく見てみましょう。
ガルバリウム鋼板葺きの外壁が一段とモダンな雰囲気を醸し出すその佇まいは、外壁材の横張りや横長の連続窓によって水平のラインを強調し安定感を感じさせます。約2mの敷地の高低差によって生まれた駐車スペースのある道路側の外階段を上がって玄関へアプローチ。大きく張り出した庇や木板を張った玄関ポーチが表情のあるファサードを形成しています。
こちらはがらっと印象の異なる南側ファサードです。建物の一部のようにテラスを上下階に設け、内部空間を開放しています。奥まった外壁とテラス面にはクールなガルバリウム葺きの外観とコントラストを成す暖かみのある木の素材を採用し、家族で楽しめるアウトドア空間をつくっています。
大きな掃き出し窓を開ければLDKと一体化し、生活空間が外部へと延長され、太陽光の降り注ぐ気持ちの良い内部空間が生まれます。上階のテラスの床材のグレーチングが下階のテラスやLDKに光を届け、日の移ろいが織り成すパターンを映し出します。お天気の良い日にはテラスで食事など楽しめそうですね。
ワンルーム型のLDK空間と繋がるように和室を配置。木の梁やナチュラルなフローリング、白でまとめたほっとするような雰囲気が伝わってくるLDKでは南北の両サイドの開口からそれぞれ異なる外部環境を取り込み、刻々と変化する自然の移ろいが感じられます。
白で統一したキッチンは家族の間での会話がはずみそうなオープンタイプのもの。吹抜けによって1階と2階が緩やかにつながります。北側は公園といった恵まれた環境にあり、居住空間は道路面から高い位置に配置しているので、プライバシーを確保しながら緑が目映い樹木の風景を享受できるのが嬉しいですね。
日本人ならやっぱり落ち着く和室。昨今ではそのフレキシブルな用途や趣きが見直されています。デザイン次第では現代のライフスタイルにもぴったりの和モダンな空間にもできるので是非取り入れてみてはいかがでしょうか。庭に面した大きな開口から陽がサンサンと入り明るく、そして全体的に色調を抑えめにして落ち着いた雰囲気を出しています。
2階を見てみましょう。子ども室として配置したこの空間は将来子どもが巣立った後、夫婦の趣味の部屋として変更できるように計画されています。取り外し可能な間仕切りやざっくりと空間を隔てる構造体などによりフレキシブルな対応が可能になっています。西側の窓からも気持ちの良い緑の風景が入ってきます。まさに恵まれた立地の特徴ある敷地形態を生かした住宅です。